(1)エストロゲンとコレステロール
女性ホルモンの一つである エストロゲン は、脂質の代謝に深く関わっていることが
わかっています。
エストロゲン は、肝臓でLDLコレステロールが取り込まれる量を増やし、
LDLコレステロールをスムーズに代謝させる働きを持っています。
そのため、若い女性は男性に比べ血液中のLDLコレステロール値が低く、
動脈硬化 が起こりにくいと考えられます。
(2)更年期 と 脂質代謝
女性の多くは50歳前後で閉経を迎えます。
閉経を迎える前後5年間の期間を更年期といいます。
閉経すると卵巣から女性ホルモンの分泌が減り、体内のエストロゲンの量が
急に減りはじめます。
エストロゲンの量が減り、血液中のLDLコレステロールやトリグリセライド(中性脂肪)は
急速に増えていきます。
LDLコレステロール値は閉経前より20%くらい高くなり、60歳頃には女性の平均値は男性を
上回ります。
したがって、女性は50歳代になると脂質異常症を発病する人が増え、動脈硬化やそれに伴って
心筋梗塞や脳梗塞を起こす人が増えます。
閉経の頃には女性ホルモンバランスの崩れからのぼせや冷えなどの更年期障害が起こりやすく、
それら症状が注目されがちです。
更年期の女性には血液中の脂質の異常が起こりやすく、
動脈硬化による病気も起こりやすくなっていることにも注意が必要です。